埼玉県の「透析認定施設さくら記念病院は、24時間対応の透析治療を2月から行っている」という埼玉新聞の記事を見た。透析患者が身近にいないので、これがなぜニュースになるのかと思った。透析が大変な負担であることは知識として知っている。透析治療は週3回で、1回約4時間かかる。これほど厳しい治療を続けていると心が折れてしまうのではと心配になる。
では、透析治療を24時間対応するということは、大量に患者が存在するということだろう。いったい透析患者はどの位いるのか、日本透析医学会の「図説わが国の慢性透析医療の現況」を見てみる。
このレポートを見ると、「慢性透析患者数の推移(図表2)」という目を見張るようなグラフが冒頭に出てくる。こんな急こう配の右肩上がりのグラフは最近見ていない。患者の増え方は尋常ではない。1970年代1000人から始まって、80年代は4万人、90年代は10万人、2000年代は20万人、2010年代は30万人、そして2015年には32万4,986人にも増加している。
これでは透析治療の体制を24時間にするというのは当然かもしれないが、それよりこの”成長率”を食い止めた方がいいのではないかと思う。止めなくては治療体制などいずれ追い付かなくなるのではと心配する。
2015年末の透析歴別男女別患者数も記載されているが、それによると透析患者32万人の中で透析歴10年以上の人は8万7000人も存在する。最長透析歴は47年6ヵ月ということだ。状況はさらに悪化しているようだ。