佐賀市がバイオマス事業を加速させているというニュースを目にした。市は、ごみ焼却で発生するCO2を回収し、藻類を培養する隣接企業に販売するという事業を行っている。独自で面白い事業だが、問題もはらんでいるらしい。
ところで一時期話題になったバイオマスだが、最近はどのように進展しているのか情報が少ない。データを探したら、農林水産省が平成27年(2015)に「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」をやっていた。木質バイオマスの利用事業所数や利用量のデータが取られている。
バイオマスは次の3つに分類される。
1.廃棄物系バイオマス
紙、家畜排せつ物、食品、建設発生木材等廃棄物。
2.未利用バイオマス
稲わら、麦わら、もみ殻など使い道がなく廃棄されるもの。
3.資源作物
サトウキビやトウモロコシ等バイオマス用に生産するもの。
林野庁の「再生可能エネルギーを活用した地域活性化の手引き」によると、木質バイオマスは、製材工場の残廃材や建設発生木材の90%以上が紙パルプ等の原料として利用されている。一方で、森林整備で発生する未利用材は年間約800万トン、約2000万㎥相当がそのまま森林に放置されているという。
日本の森林資源量の年間の成長量は約1億㎥とされ、蓄積量は年々増加しているという。しかし、効率的な生産供給体制が確立し、いかに低コストで供給できるかが問われている。
では、木質バイオマスエネルギー利用事業所数はどの位あるのかというと平成27年(2015)で1,316事業所。最も多いのが製材業、木製品製造業で、262事業所。次に多いのが、一般公衆浴場業、その他の公衆浴場業(温泉)で126事業所である。たったこれだけなのかというのが正直な感想である。
木質バイオマスの利用量を見ると、木材チップで平成27年(2015)が総数690万3,327トン、約700万トンである。発電に約300万トン、熱利用に約120万トン、発電・熱利用に約270万トンである。
平成28年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2017)によると、「我が国において2015年度に利用されたバイオマスエネルギーは原油に換算すると1,272万klであり、一次エネルギー国内供給量51,162万klに占める割合は2.5%でした」とある。日本のエネルギーの支えの一つになることができるのだろうか。