まつたけ生産動向

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「まつたけの初競り 1キロあたり100万円」と毎日放送が報道した。「少し小ぶりの5本のまつたけ。重さは合わせてわずか70g。兵庫県篠山市で行われた初競りで7万円の値がつきました。1㎏あたりに換算すると100万円で、去年より15万円高いということです」。

景気のいい話だ。ご祝儀相場とは言え、なぜまつたけはこんなにも高いのだろうか。そもそもまつたけは栽培技術がまだ確立されていない。その上、アカマツ林の環境悪化から、その生産量が年々減少しているそうだ。アカマツにしか発生しないまつたけは、米や野菜のように大量に生産できない。天然物に頼っているので生産量もその年によって大きく変動する。

国内のまつたけ生産量は、林野庁の「特用林産物生産統計」にまとめられている。そこからまつたけ生産量を時系列でまとめてみた。まつたけの国内生産量は、2005年39.1トン、2010年139.8トン、2015年70.9トンとその年によって大きく変動している。

データのランキングサイト等では、まつたけの生産量は、トップが長野、2位岩手、3位岡山などと記載されていることが多いが、データを時系列で見てみると、ことはそんなに単純ではないことが分かる。今でこそ長野、岩手が圧倒的に生産量が多いが、2005年頃には広島がトップで山口、和歌山等も2トン以上を生産している。京都も含め、近畿、中国地方で多く生産されていた。それが近年は長野、岩手を除いて壊滅状態になっているのが見て取れる。

まつたけの古くからの産地としては京都が有名だそうだ。茨城県林業技術センターの「きのこ雑学講座」に詳しく載っている。それによると、京都は古くから都市化が進んで樹木の伐採が繰り返され、その結果山の地力が衰え、痩地でも育つアカマツ林が増えて行った。15世紀には京都周辺はアカマツ林になった。そこでまつたけが大量に採れるようになったということだ。戦後は逆に、アカマツ林に人の手が入らなくなって、落ち葉が積もって土が肥え、まつたけの生活環境が悪化してしまって、生産量も減少してしまったという。

いずれにせよ、長野、岩手の2県に生産量の大半を依存している状態を変えなくては安定供給はおぼつかないだろうが、そのためには栽培技術の確立が急がれる。
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まつたけ生産量

 
出所:農林水産省 特用林産物生産統計調査
 
出所:茨城県林業技術センター きのこ雑学講座