金魚の生産数

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明日から東京都江戸川区北葛西の行船公園で第43回金魚まつりが開催される。江戸川区と言えばかつては金魚の産地として有名だった。その名残で今も金魚祭りが行われているが、最近は金魚を飼っている光景はあまり見られなくなった。海外では金魚や錦鯉は人気があると聞くのだが、では金魚はいったいどの位生産されているのだろうか。調べてみると金魚の生産統計はほとんど無いことが分かった。

金魚の三大産地は奈良県大和郡山市、愛知県弥富市、そして東京都江戸川区である。奈良から始まった金魚の養殖が愛知に伝わり、明治末期に東京都江戸川区に移ったそうである。大和郡山市では現在、養殖農家約60戸、養殖面積約90ヘクタールで、年間金魚約6,165万匹、錦鯉約2万匹が販売されている。弥富市では金魚の経営体数が平成20年で102ある。昭和58年の210から半減しているもののまだ100以上も残っている。江戸川区は公式サイトによると、1940年(昭和15年)に金魚生産5000万尾で輸出も行っていた。1954年(昭和29年)には東京の金魚生産業者の3分の2が江戸川区に集中した。1972年(昭和47年)には江戸川区の金魚生産は1500万尾にまで減少した。現在では金魚養殖業者は2軒にまで減少している。

昭和60年3月に東京都水産試験場が実施した「昭和58年~59年度 組織的調査研究活動推進事業 報告書」 (東京における金魚養殖業の振興方策)というものがある。古いデータだが、金魚の生産状況から流通、消費動向まで調査している。当時は金魚はまだマーケティングの対象にあったのだろう。以下に生産量について抜粋する。

エ生産量
正確な生産量を把握することは、組合の共販以外に直接卸売、庭先売などがあって困難である。そこで、図3に昭和45年からの実数の把握できる組合の共販取扱量を示した45年から46年には一挙に150万尾増加して約700万尾であったが、49年までは年間約100万尾という急激な減少傾向か続き、430万尾にまで下がった。50年に若干増加したか51年には再び減少して最低の400万尾にまでなったしかし、その後は増加傾向に転じ500万尾台を維持し、58年には約600万尾となったか、59年は再び減少して約500万尾となった。

東京都の金魚生産量・図3組合共販取扱量の推移(東京都農林統計及び組合資料による)
出所:東京都島しょ農林水産総合センター 184.東京における金魚養殖業の振興方策

もう一つ、平成15年6月9日、環境省の中央環境審議会野生生物部会 第5回移入種対策小委員会 議事次第・資料に資料5 観賞魚類(熱帯魚等)について-大野成実(日本観賞魚振興会 事務局長) というのがある。これに金魚の生体市場規模が記載されている。市場規模は金額規模で、1992年度(平成4年度)は72億円、1995年度(平成7年度)に60億円に減少して、2002年度(平成14年度)には56億円にさらに縮小している。

金魚の生体市場規模推移
出所:資料5 観賞魚類(熱帯魚等)について-大野成実(日本観賞魚振興会 事務局長)

なかなか正確な数字が掴みにくい金魚市場である。金魚にせよ錦鯉にせよ、国内市場で見ている限り縮小していく見通ししかない。しかし世界市場で見ていくと違ったものが見えてくるに違いない。