警察庁が「平成28年における少年非行、児童虐待及び児童の性的搾取等の状況について」を発表した。それによると警察が一時的に保護し、児童相談所などに引き渡した18歳未満の子どもが2016年の1年間で3,521人に上ることが分かった。
統計データによると、児童虐待通告児童数は平成16年(2004年)には962件だったものが、平成28年(2016年)には54,227件にまで膨れ上がった。最も多いのは心理的虐待だが、性的虐待の増加が著しい。警察が保護した児童数も平成24年(2012年)の1,611件から平成28年(2016年)の3,521件に倍増している。
いずれにしてもこの増え方は尋常ではない。
以下に警察庁が公表している検挙事例を挙げておく。
2 主な児童虐待事件の検挙事例
(1)実母等による保護責任者遺棄致死等事件(埼玉)
平成27年9月頃から28年1月までの間、内縁の夫(24歳)及び実母(22歳)は共謀の上、自宅において次女(当時3歳)に十分食事を与えず衰弱させるとともに、シャワーの熱湯をかけるなどしてやけどをさせた上、浴室に放置するなどして敗血症で死亡させた。
28年4月、両名を保護責任者遺棄致死罪等で検挙した。
(2)実母による殺人事件(千葉)
平成28年1月、実母(46歳)は、自宅浴室において次男(当時5歳)を水に沈めて殺害した。
同月、実母を殺人罪で検挙した。
(3)実父による殺人事件(福岡)
平成16年12月頃、実父(47歳)は、実母宅において実母(当時28歳)の胸を刃物で刺して殺害するとともに、長男(当時7か月)の首を絞めて殺害した。
28年1月、実母に対する殺人罪で、5月、長男に対する殺人罪で実父を検挙した。
(4) 実父による殺人事件(愛知)
平成28年8月、実父(48歳)は、自宅において長男(当時12歳)の右胸を包丁で刺して殺害した。
同月、実父を殺人罪で検挙した。
(5)養父等による殺人事件(大阪)
平成27年6月、養父(32歳)及び実母(23歳)は共謀の上、自宅において長男(当時3歳)に暴行を加えて殺害した。
平成28年8月、養父及び実母を殺人罪で検挙した。
出所:警察庁・平成28年における少年非行、児童虐待及び児童の性的搾取等の状況について