財務省が7月の国際収支統計を発表した。報道では2ヶ月ぶりの黒字となっているが、データを見てみると6月が赤字で、それ以前は2月まで黒字だった。
2014年各月の経常収支
1月-15,861
2月 6,077
3月 1,597
4月 1,874
5月 5,228
6月-3,991
7月 4,167
細かいことはさておいて、経常収支の話題になると必ず貿易収支の巨大な赤字が経常収支を悪化させていると言われる。ところが最近は所得収支が好調に推移してきて経常収支全体へ貢献してきている。
経常収支の記事を読むとき、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支という言葉が出てくるが、曖昧なまま読んでいるとデータについても曖昧な理解しかできていないので、ここではっきりさせておこうと思う。
●経常収支
海外とのやりとりでどれだけ稼いだかということ。以下の4項目で構成されている。
■貿易収支
輸出額から輸入額を引いたもの
■サービス収支
サービス取引の収支のこと。輸送では国際貨物、旅客運賃の受け取り・支払いで、旅行では訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払がある。ほかに金融や知的財産権等使用料などが含まれている。
■所得収支
これが分かりづらいかもしれないが、直接投資収益、証券投資収益のことである。つまり海外の日本企業が得た収益を日本国内に送金するもの、また日本国内の外国企業が母国へ送金したものの収支等である。これが近年増加してきて注目されている。
■経常移転収支
これは開発途上国への経済援助や国際機関への拠出金など、常に赤字になっている。
以下に1985年から2013年まで時系列で経常収支をグラフにした。貿易収支については2011年の震災以来赤字が拡大を続けている。それを補う形で所得収支が増加している。サービス収支もここに来て伸び始めた。経常収支全体としては何とか黒字を維持しているという形である。
出所:財務省 国際収支状況