ダイハツ工業が軽商用車「ハイゼットトラック」を15年ぶりにフルモデルチェンジした。
ハイゼットトラックは、ダイハツのロングセラー車だから名前は知らなくても誰もが見たことはあるだろう。農業や建設業、運送業などで使われている。ところでこのハイゼットトラック、農林水産省「農業女子プロジェクト」との連携で開発されたということが一つの売りになっているようだ。特別にカラフルなボディーカラーと女性に嬉しい装備を織り込んだ「農業女子パック」を用意している。
そう言えば、最近テレビでも農業をやる女子が増えていると報道されていたと思う。本当にそうなんだろうか、確かめてみた。
農林水産省に農林水産基本データ集と言うものがある。そこに農業労働力に関する統計がある。これによると平成25年(2013年)の農業就業人口は239万人。その内121万人が女性である。50.7%を占めている。農業と聞くと男の職場のようなイメージがあるが、データの通りなら農業は男女半々の職場と言える。しかしその女性の比率は年々減少してきている。農業女子と言う言葉の響きからイメージするのは若くて、新しく農業に参入してくる女性たちである。もしかするとそういう女性は増えてきているのかもしれない。
同じく農業労働力に関する統計に新規就農者数と言うものがある。平成25年(2013年)の新規就農者は5万800人。こちらも平成20年(2008年)の6万人から約1万人減少している。女性は平成25年(2013年)1万1600人が新規に就農した。その内44歳以下の女性は3700人である。農業就業人口239万人の内、たったの3700人でしかない。データで見る限り農業の凋落は農業女子と言ってもてはやしたところで解決できるものではないだろう。
※「農業就業人口」とは、15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数の方が多い者をいう。
※「基幹的農業従事者」とは、農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「仕事が主」の者をいう。
※「新規自営農業就農者」とは、農家世帯員で、調査期日前1年間の生活の主な状態が、「学生」から「自営農業への従事が主」になった者及び 「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者をいう。
※「新規雇用就農者」とは、調査期日前1年間に新たに法人等に常雇い(年間7か月以上)として雇用されることにより、農業に従事することとなった者(外国人研修生及び外国人技能実習生並びに雇用される直前の就業状態が農業従事者であった場合を除く。)をいう。
※「新規参入者」とは、調査期日前1年間に土地や資金を独自に調達(相続・贈与等により親の農地を譲り受けた場合を除く。)し、新たに農業経営を開始した経営の責任者をいう。
出所:農林水産基本データ集