総務省統計局が実施している「科学技術研究調査」の調査方法について

Bookmark this on Google Bookmarks
LINEで送る




datahelp

480hyoushi 480No2_hyoushi1 480No3_hyoushi1 480No4_hyoushi1

 

 

 

国の基幹統計の中に「科学技術研究調査」という統計がある。今回はこの統計の調査方法について見ていく。この統計の目的は、我が国の科学技術に関する研究活動の状態を調査して明らかにすることである。日本の産業の方向を決定する上で非常に重要な調査である。調査はかなり細かく細部にわたってデータが取られている。結果は以下のように集計して公開されている。

研究主体・組織別研究関係従業者数研究費の推移
【歴史】
昭和28年(1953年)8月
研究機関基本統計調査(指定統計第61号)として発足。
昭和35年(1960年)3月
調査対象範囲の拡充し、調査名を「科学技術研究調査」に改称。
平成14年(2002年)
・調査対象区分を「会社等」及び「研究機関」を「企業等」及び「非営利団体・公的機関」に変更。
・「卸売業」,「金融・保険業」及び「サービス業」の一部を調査対象産業に追加,標本設計の変更,調査事項の追加・変更等。
平成29年(2017年)
非営利団体・公的機関及び大学等の研究関係従業者の区分に「任期無し研究者」を追加。また,新規採用者数の内訳として「自然科学部門」,「理学」,「工学」,「農学」及び「保健」,また「保健」の内訳として「医学」,「歯学」及び「薬学」を追加。

【調査対象】
「企業」,「非営利団体・公的機関」及び「大学等」。
調査単位は以下のとおり。
・企業:法人
・非営利団体・公的機関:法人及び研究機関
・大学等:大学の学部(大学院の研究科を含む。),短期大学,高等専門学校,大学附置研究所,大学附置研究施設,大学共同利用機関法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構

【抽出方法】
企業
事業所母集団データベース及び過去の調査結果を基に作成した母集団名簿に基づき、研究活動の有無(2区分),資本金階級(4区分)及び産業(40区分)の各層から所要の企業数を抽出。
非営利団体・公的機関
各府省庁及び地方公共団体に依頼して作成した資料に基づき対象とした。
大学等
文部科学省公表の資料に基づき国内全ての大学等を対象とした。
平成30年(2018年)調査では,以下のように約18,300を調査対象としている。
対象数と回答率
【調査時期】
3月31日現在,もしくはその直近の決算日から遡る1年間の実績。

【調査方法】
総務省統計局が調査対象に調査票を郵送(5月中旬)し,インターネット又は郵送により回答を得る方法で実施。

調査方法は調査票を郵送で送って、記入後に回収するという一般的なアンケート調査と同じ手法であるが、上記の表にあるように、オンラインの利用率が非常に高いのが他の調査とは際立って異なる。当然と言えば当然だろうが、売上高や従業員数は明確に回答できるだろうが、分野別、目的別の従業員数や研究費は明確に分けることができない部分も多いのではと推測する。ただ多くの調査員が介在しているわけではないので、非標本誤差は避けられると思う。
-----------------------
非標本誤差というのは、標本誤差以外の誤差のことである。例えば調査員がウソを記入したり、回答者が誤解して回答、さらには無回答などで起こる誤差である。
-----------------------
出典:総務省統計局科 学技術研究調査