農林水産省が実施している「海面・内水面漁業生産統計調査」の調査方法について

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前回同様、「毎月勤労統計調査」不正問題を機に、公的統計の調査方法について整理しておきたいと思う。前回は農業の基幹統計である農林水産省の「作物統計」について調査方法を整理したので、今回は同じく漁業の基幹統計である「海面漁業生産統計調査」と付随する「内水面漁業生産統計調査」について調査方法を整理・確認しておきたいと思う。

まず海面漁業と内水面漁業の違いだが、簡単に言うと海面漁業というのは海の漁業のことで、内水面漁業というのは川や湖の漁業のことである。海面漁業生産統計調査は、海面漁業の生産に関する実態を明らかにすること。内水面漁業生産統計調査は、内水面漁業・養殖業の生産に関する実態を明らかにすることを目的としている。

・海面漁業生産統計調査
1950年(昭和25年)まで表式調査による漁獲量の把握を実施してきた。翌1951年(昭和26年)から標本理論に基づく調査が開始された。
・内水面漁業生産統計調査
1953年(昭和28年)まで表式調査による漁獲量の把握を実施してきた。翌1954年(昭和29年)から統計報告調整法に基づく調査を開始した。

ここで言う表式調査とは、調査対象となる集団について熟知している専門家に対して行う調査方法で、間接調査の一つである。漁師や漁船を直接調査するのではなく、その分野に明るい専門家に対して調査する。このため精度は低く、現在ではほとんど行われていないと言う。

現在使われている調査手法は海面漁業と内水面漁業で異なる。

・海面漁業漁獲統計調査及び海面養殖業収獲統計調査の調査方法
1.調査票を配布して、必要事項を記入後に回収する方式(自計式調査)
2.調査員による面接聞き取りの方法(他計式調査)

・内水面漁業漁獲統計調査及び内水面養殖業収獲統計調査
 1.農林水産大臣が民間事業者に調査を委託。

次に個別に調査方法を整理する。

■海面漁業漁獲統計調査及び海面養殖業収獲統計調査
【調査対象】
前年の調査により把握された水揚機関及び水揚機関で把握できない海面漁業経営体。水揚機関とは、魚市場や漁業協同組合、漁業会社、冷凍・冷蔵工場、水産加工場及び問屋等。

【調査時期】
調査の対象期間は、毎年1月1日から12月31日までとし、翌年の1月から3月に調査を行う。(遠洋漁業などは別途)

【調査方法】
・水揚機関
1.調査員が調査票を配布し、回収する。
2.調査員が水揚機関のコンピュータの画面や書類に記録されている内容を調査票に転記する方法。
3.調査員による面接聞取り(他計報告)の方法。
・漁業経営体
1.調査票を郵送により配布・取集する方法。
■内水面漁業漁獲統計調査及び内水面養殖業収獲統計調査
【調査対象】
内水面漁業協同組合、内水面漁業経営体、内水面養殖業経営体及び水揚機関。

【調査時期】
毎年1月1日から12月31日までの期間について行う。

【調査方法】
農林水産大臣が委託した民間事業者が調査対象に対し、郵送、FAX、オンライン又は民間事業者が任命した調査員により調査票を配布・回収する方法。

以上が漁業漁獲量統計に関する調査方法だが、海面漁業と内水面漁業では調査の重みも違っている。漁獲規模が圧倒的に違うので当然だが、いずれにしても調査員を大量に投入しているのであれば、人件費はバカにならないだろう。総務省統計委員会担当室が公表している「調査票の回収率・有効回答率の状況について」(平成30年12月13日)によれば、内水面漁業生産統計調査の回収率は99.9%である。すばらしい結果である。しかし、オンライン回答率はわずか0.7%でしかない。あまりにも低い結果に驚かざるを得ない。オンライン回答へのシフトが急がれると思う。

出典:農林水産省 海面漁業生産統計調査

出典:農林水産省 内水面漁業生産統計調査