最高裁判所裁判官国民審査(罷免の可否)

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政府与党は臨時国会冒頭に衆院を解散すると表明した。まもなく衆議院議員総選挙が始まる。選挙ではさまざまな争点が議論されるのだが、衆議院選挙にはもう一つの投票がある。それは「最高裁判所裁判官国民審査」である。国民審査とは、最高裁判所の裁判官について国民が審査する制度だ。やめさせたい裁判官に×をつけ、それが過半数になればその裁判官は罷免される。しかし、過去に罷免された裁判官はいないそうだ。
この形骸化した国民審査だが、いったいどの位の投票がされているのだろうか。×はどの位ついているのだろうか。総務省の「衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果」の過去3回のデータを整理してみた。審査される裁判官の数が違うのは、一度国民審査を受けた裁判官は、その後10年間は審査を受けなくてよいからである。

第47回衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査(26.12.14執行)
第46回衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査(24.12.16執行)
第45回衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査(21.8.30執行)

第47回衆議院議員総選挙では、国民審査の投票総数が約5000万票。罷免を可とする、つまり×を付けた票が約470万票。大きい数字に見えるが、全体のわずか9%程度である。第46回、第45回と比較すると、6%台から8%台へ増えている。そして9%だから、×を付ける傾向が高まってきたとも見える。しかしわずか10%にも満たないのだから、このシステムで罷免される裁判官が出てくるとは到底思えない。また×が過半数を超えれば自動的に罷免されるので、理由など必要無いそうだ。罷免されるのに理由が提示されない。これも理不尽である。なぜこんな制度を続けているのだろうか。
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最高裁判所裁判官国民審査_罷免を可とする投票数、可としない投票数

第47回衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査(261214執行)

 
出所:総務省 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果