SBC信越放送が「松くい虫被害の防止を目的にした松本市の農薬空中散布を巡る問題で、弁護士や市民などでつくるグループが県に対し、市町村に散布を中止させるよう求める調停の申し立てを行いました」と報道した。農薬空中散布と言えば、大面積を短時間に防除することが可能だが、周辺に薬剤による影響を及ぼす恐れがあるとされ、警戒する人もいる。
農薬の空中散布は、高度成長期に労働力が都市の工場などに取られてしまい、米農家にとって最も辛い盛夏の防除作業を、ヘリコプターを導入することで行われた。国家事業として行われた。
では現在の農林水産航空事業の実施状況はどうなっているのだろうか。農林水産省が「農林水産航空事業の実施状況について」を公表している。農薬散布は有人ヘリコプターと無人ヘリコプターを利用して行われている。有人ヘリコプターによる散布等の面積は、平成22年度(2010)の水稲防除は5万1,158haだったのが、平成28年度(2016)では3万4,539haに激減している。一方、無人航空機による散布は平成22年度(2010)の水稲防除は83万8,156ha。平成28年度(2016)では90万6,602haに増加している。無人機の機体数も平成22年度(2010)2,346から平成28年度(2016)3,045にまで増加している。
圧倒的に面積の広い「ミバエ類再侵入防止等」は、沖縄で農作物に深刻な被害を与えるウリミバエ防除のことである。不妊化したミバエを野外に放して野生のミバエと交尾しても子孫が残せないようにする「不妊虫放飼」という手段を取りミバエの根絶に成功した。それが再侵入されないように継続している。
出所:農林水産 病害虫防除に関する情報 農林水産航空事業の実施状況について