「九州北部豪雨で、農業用ため池の決壊が相次いだ。福岡県朝倉市では、国の調査で老朽化などの問題点がないとされたため池でも、1日に1カ月分を超す想定外の局地的豪雨と土石流によって、11カ所が決壊する事態となった」と日本農業新聞が報じた。ため池と聞くと瀬戸内を思い出すが、九州でもため池は重要な役割を担っているようだ。
例年、ため池がニュースになるときは異常な渇水で四国のため池がカラカラに干上がった光景が映し出される。今回は全く逆で異常な雨量でため池が決壊しているのだ。カラカラでも困るが決壊すれば、これも農業用水の供給に支障がでるだろう。
農林水産省によると「ため池とは、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を貯え取水ができるよう、人工的に造成された池のこと」だそうだ。全国に約20万箇所存在し、特に西日本に多く分布している。
ため池が最も多いのが、兵庫県で43,245箇所。次が広島19,609箇所。3番目が香川で14,619箇所。そして4番目が大都会の大阪で11,077箇所もある。最下位はもちろん東京で8箇所である。合計で197,742箇所(防災課調べ平成26年3月)、約20万箇所となっている。
ため池は集中豪雨だけでなく、遠からず発生が懸念される大規模地震に対する整備が急務とされている。東京に住んでいるとため池についてほとんど知らない。ため池に落ちて亡くなった事故等を目にすると、あんな危険な状態をなぜ放置しているのかと思う。ため池の約70%は江戸時代以前に築造されたという。そんなに古い設備が、気候が変わり始めた現代にそのまま存続させることに無理はないのだろうか。
一方で、ため池は農業用水の確保だけでなく、生物の生息・生育の場所の保全、地域の憩いの場の提供など、多面的な機能を有しているという。今後ため池はどのように扱われて行くのだろうか。
ちなみに農林水産省は、「農業用の水源として秀でた特徴を有する全国のため池100地区を「ため池百選」として選定」している。
出所:農林水産省 農村地域の防災対策と災害復旧(安全で安心な農村を目指して)ため池