UHB(北海道文化放送)が、札幌市清田区の公園にキツネが頻繁に姿を見せ始めたと報道した。普通の公園に野生のキツネが現われて、公園にいる人を威嚇している。かなり人なれしているように見えるのだが、東京では想像もつかない光景である。ここまで人に近づくと問題になるのは、寄生虫のエキノコックスである。キツネの糞に触れるなどして感染する危険性があるので注意を呼びかけている。
エキノコックスは、現在北海道でのみ見られる病気で、北海道保健福祉部の「動物由来感染症エキノコックス症かからないためのQ&A」によれば、エキノコックスは自然界ではキツネと野ネズミに寄生していて、家畜のブタやイヌにも寄生する。しかし、キツネやイヌには卵を作る成虫が寄生するが、野ネズミ、人、ブタでは寄生した幼虫が成虫になれず、卵を作ることもないので、これらから感染することはない。キツネに寄生していたエキノコックスの幼虫は成虫になって卵を産み、それが糞などについて人に感染する。
人の体内に入ったエキノコックスの卵は幼虫になるが、成虫になれず、卵を作ることもないため、この人から他の人に感染することはないということである。
しかし、エキノコックスの感染者はどの位存在するのだろうか。北海道感染症情報センターがエキノコックス症のデータを公開しているので時系列に整理して表にしてみた。
エキノコックス症報告数は以下のように推移している。
1999年: 8
2000年:21
2001年:13
2002年: 9
2003年:18
2004年:25
2005年:18
2006年:19
2007年:22
2008年:22
2009年:24
2010年:18
2011年:21
2012年:15
2013年:18
2014年:26
2015年:23
2016年:27
2017年:17(第31週まで)
ほぼ毎年20件前後で推移している。増加傾向でも、減少傾向でもない。注意を怠らなければ防げるということだろう。