高知県広域食肉センターのと畜事業の存続が騒動になっていると報道されている。経営赤字が続いているため廃止すべきとする考えと、廃止されたら県外に運ばなくてはならなくなって、大きな打撃になると存続を要求する畜産農家などが対立している。
と畜とは家畜を食用にするために殺すことだが、あまり評価は高くなく、イメージも良くない。築地で行われるマグロの解体ショーなどは拍手喝采され、観光に利用されているのに、哺乳類となると人はまったく逆の反応を示す。このためと畜の情報はあまり表に出てこないような気がする。
では日本では一体どの位の数の家畜がと畜されているのだろうか。農林水産省の畜産物流通調査に「と畜頭数及びと畜場数累年統計」というデータがある。
平成27年(2015)の豚のと畜頭数は1,610万4,466頭、牛が110万7,166頭、馬が1万2,466頭となっている。毎日何万頭もの家畜がと畜されている。これが少しでも滞ったら家庭の食卓は、飲食店はどうなるのか。しかし、と畜場数は減少を続けているのだ。平成11年(1999)には282あったと畜場は平成27年(2015)には189に減っているのである。
ちなみに牛を食べるために、自分たちで自分の牛を勝手に殺すと逮捕されるそうである。と殺には許可が必要だそうだ。