前回、東京の労働力調査で働くことについて見てみた。今回は都民の暮らしについて見てみる。東京都は、都民のくらしむきについて「東京都生計分析調査」を行っている。「東京都生計分析調査」は標本調査で、数百件のサンプルを取って分析している。都民全数を調査したものではない。
調査結果を時系列で見ると、実収入はバブル経済崩壊(1991年)の後数年までは増加していたが、阪神淡路大震災の後あたりから減少を始める。同時に消費支出も減少していく。対前年比の表を見ると10年以上マイナスがついて真っ赤になっている。2009年頃からようやくプラスに転じるが、2011年の東日本大震災の年に大きくマイナスになり、その後やっとプラスが増えてきたという感じである。
ではどの消費が大きな影響を受けてきたのだろうか。デフレ真っ只中の時代はすべてがマイナスで前年比は真っ赤である。食料品が2012年あたりからプラスに転じている。家具・家事用品、被服費履物も支出が増えている。
プラスに転じた食料品は何が好調なのだろうか。品目別の対前年比を見てみる。調理食品と乳卵類が2012年からプラスに、その翌年2013年からは肉類、野菜・海藻、油脂・調味料、菓子類がプラスになっている。2015年には穀類、飲料以外はすべてプラスになった。
いずれにしても、昭和の時代のように全体が安定してプラスで推移することは望めないのかもしれないが、少なくとも安定感が得られるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
出所:東京都の統計「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報)平成27年