ニッスイ(日本水産)がマダコの完全養殖の技術構築に成功したと発表した。完全養殖ということは、採卵から孵化、稚ダコの飼育ができるということだ。稚魚を獲ってきて育て上げるウナギの畜養とはまったく違う。ウナギは稚魚が獲れなければ養殖もできない。しかし、完全養殖であれば、卵から作れるので、稚魚の漁獲量の多寡に左右されることがなくなる。ついにマダコの完全養殖ができる時代になったのかと期待も膨らむのだが、量産化にはまだしばらく時間がかかるそうだ。
では、タコの需要はどうだろう。国内のタコの漁獲量と輸入量の合計がほぼ国内需要となる。輸出はわずかでしかない。まず、農林水産省の海面漁業生産統計調査によると、平成28年(2016)のたこの漁獲量は37,100トンで、この年は若干増えているものの、平成15年(2003)頃からずっと減少し続けている。
一方、輸入はどうなっているかというと、農林水産物輸出入概況(品目別統計表)によると、平成27年(2015)が50,923トン、平成28年(2016)が47,342トンで国内の漁獲高を上回っている。
漁獲量と輸入量を合算すると年間8万トン台のタコが消費されていることになる。ちなみに輸出は、同じく農林水産物輸出入概況(品目別統計表)によると、平成27年(2015)が740トン、平成28年(2016)が518トンである。今回の完全養殖技術で量産化が確立すれば、輸出も視野に入れた大きな産業になることも期待できる。