石炭は過去のエネルギーで今や主役ではないというイメージがある。やはり石油や天然ガスが我が国のエネルギーを支えていると思っていた。しかし、資源エネルギー庁のエネルギー白書を見ると石炭の役割が逆に高まっていることが分かる。なぜ今石炭なのだろうか。資源エネルギー庁の「石炭の用途別消費量の推移」によると、石炭の総販売量は1965年には7000万トン。1984年に1億600万トンで1億トンを超えた。その後増え続け、2007年には1億9000万トンで2億トンに迫る量になった。その後増減はあるものの1億7000万トン前後で推移している。
石炭の大口需要家は鉄鋼と電気だ。鉄鋼は6000万トン台で安定しているが、電気は1980年代から増え始め、右肩上がりで販売量を増やしてきた。1970年代の2度にわたるオイルショックで石炭の価値が見直され利用が進んだ。2001年に鉄鋼と同じ販売量になり、その後追い抜いて、2014年には8,200万トンにまで増加した。
背景には、石油の産出地が中東に偏っているのに対して、石炭は世界中に分布しているため入手しやすく安定しているという理由がある。埋蔵量も石油よりは多いため、安定的なエネルギーとして選択されているようだ。
出所:資源エネルギー庁 エネルギー白書「平成27年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2016)HTML版