経済産業省が実施している「工業統計調査」の調査方法について

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厚生労働省が実施している「毎月勤労統計調査」の不適切調査問題を機に、各統計調査の調査方法を確認する作業を始めたが、今回は基幹統計としても重要な「工業統計調査」の調査方法について確認しておく。今回は少し長くなる。
工業統計調査は、ご存知だと思うが、製造業の実態を明らかにする調査である。国内の製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額などを把握する調査である。以下のように集計して公表されている。なお本調査は全数調査である。

産業別統計表(産業細分類別)

【歴史】
明治16年(1883年)
○農商務統計のうち「工場統計」職工10人以上を調査。
昭和14年(1939年)
○調査対象の変更。従業者や設備による調査の範囲に関する制限を撤廃して全ての工場を対象とする全数調査となり、名称も「工場調査」に変更。
昭和22年(1947年)
○統計法に基づく指定統計10号として、日本標準産業分類(仮案)による製造業を対象とする「工業調査」に改める。
昭和25年(1950年)
○「工業調査」の名称を「昭和25年工業センサス」に変更。
昭和26年(1951年)
○「昭和25年工業センサス」の名称を「工業統計調査」に変更。
現在に至る。

【調査対象】
<地域>全国
<単位>事業所
<調査対象数>203,470事業所(平成29年調査)
<回収率>94.4%(平成29年調査)
<オンライン提出率>16.1%(平成29年調査)

【抽出方法】
全数調査(裾切り調査)
※ただし、従業者3人以下の事業所を除く
※裾切り調査とは、従業員数、売上高、資本金などを基準に一定規模以下を調査対象から除外する方法。

【調査時期】
(調査周期)毎年
(調査期日)6月1日

【調査方法】
(調査経路)
調査員調査方式:経済産業省→都道府県→市町村→調査員→調査客体
本社等一括調査方式:経済産業省→調査客体
国直送調査方式:経済産業省→調査客体
(配布方法)
郵送、オンライン、調査員
(収集方法)
郵送、オンライン、調査員

調査の内容
工業統計調査には、準備調査と本調査がある。
(1)準備調査
これは、すべての事業所に対して調査員が訪問して、本調査の対象となる従業者4人以上の事業所を把握し、調査票を配布する。
(2)本調査
(調査員調査)
統計調査員が調査対象事業所を訪問し、調査票等を配布し、調査票に必要事項の記入を依頼し、後日回収する方法。
(本社一括調査、国直送調査)
経済産業省が調査票等を郵送により調査対象事業所へ送付し、調査票を郵送等により回収する方法。
本社一括調査とは、複数の製造事業所を持つ企業を対象に調査票を本社で一括して記入・提出する方法。
国直送調査とは、複数の製造事業所を持つ企業傘下の各製造事業所において記入・提出する方法。これは、民間事業者に委託している。
なお、平成30年調査の委託先民間機関は、株式会社インテージリサーチで、委託業務内容は、調査関係用品作成、発送、調査票回収、審査、名簿整備等、業務報告書作成等である。

以上が工業統計調査の調査方法だが、今の時代にこのような手法が取られていることに違和感を抱く人も多いだろう。とてつもなく莫大な人件費が費やされているような印象だ。他の統計調査との一本化が多くの部分で可能だろうし、工業製品の分類も客観性がどこまであるのだろうか、不可解な部分が多く感じられる大規模調査である。

出典:経済産業省・工業統計調査