JR総武線幕張本郷駅で、男が駅構内の鉄塔によじ登り、2時間にわたって居座り現行犯逮捕されたと報道された。この男は痴漢行為をした疑いで駅の事務室で事情を聴かれていたが、突然逃げ出して大騒動になった。電車は3時間近く運転見合わせとなったそうだが、最近は痴漢行為で逃げ出して捕まらない事件が増えている。
もし冤罪で長期拘留されても損害賠償はおろか謝罪もないと言われているので、それは逃げても無理はないという見方もある。しかし、本当に痴漢をやって逃げている事例の方が圧倒的に多いように感じるのだが。
ところ電車内の痴漢行為はどの位起きているのだろうか。『平成27年版犯罪白書』に「迷惑防止条例違反の痴漢事犯の検挙件数・電車内における強制わいせつの認知件数の推移」のデータあるので抜粋した。
まず、痴漢事犯の検挙件数だが、平成18年(2006年)には4,181件で翌年増加したものの、その後は概ね減少傾向にある。一方、電車内における強制わいせつの認知件数は平成18年(2006年)が420件でこちらも減少傾向にあり、平成26年(2014年)には283件にまで減少した。
ずいぶん少ないように感じられるかもしれないが、これらは警察が認知した件数で、被害者が被害届を出して、それを受けて認知件数として計上しているデータである。だから今回の事件のような大事になった事件の件数である。実際の痴漢被害数は言うまでもないだろう。しかし年間300件近くと言うことは、毎日どこかで警察が乗り出す痴漢が1件近く起きているということか。
出典:法務省 平成27年版 犯罪白書~性犯罪者の実態と再犯防止~