死者が減れば道路は安全なのだろうか。2017年の全国交通事故死者(速報値)は累計3,694人となり、前年比210人減、過去最少数となったと警察庁が発表した。1970年には1万6,765人もの死者を出していたのが、4分の1以下にまで減少したのはすばらしいことである。しかし、「死亡」(「死者」)とは、交通事故によって、発生から24時間以内に亡くなった場合(人)をいうとしており、医療技術の向上で延命されている可能性も大きいだろうから、交通行政だけの結果とは言えないだろう。
本当に死者が減れば道路は安全になったのだろうか。死者があまりにも象徴的なので、このデータで安全を判断してしまうが、死ななくても大きなけがをしたり、後遺症が残ったりすると被害者の人生は大きく変わってしまう。
警察庁の「交通事故統計」を見てみると、死者が最も多かった1970年を100とした指数を見ると、2016年には死者は23、重傷者は29にまで減少した。一方、負傷者は指数63で、まだまだ道路が安全とは言えない。交通行政が効果を発揮しているなら負傷者の指数も20台、30台まで落ちてもよさそうな気がする。道路は決して安全ではないのだ。