農作業中の事故が減らない。毎年350人前後が亡くなっている。半分以上が農業機械作業に係る事故だ。このため農水省は原因分析の調査に乗り出している。
仕事中の事故と聞くと、危険な建設作業や製造業などがイメージされるが、そういった産業の事故が減少してきたのに対して、農作業中の事故は横ばいで減少していないらしい。農林水産省が「こうして起こった農作業事故 2」という報告書を出している。「第3章 農作業事故の実態」に労災予防研究所・所長、三廻部眞己氏が昭和46年を100として、産業別災害死亡事故の推移を示した図がある。
これを見ると、建設業では1971年の2,323人から2011年には342人、14.7%まで減少している。一方、農作業事故はどうかというと、図のように横ばいのままである。これはやはり問題だろう。
事故原因の内訳を見ると、農業機械作業に係る事故が圧倒的に多く6割を占めている。その中でも乗用型トラクターが最も多い。平成27年(2015)の農作業中の死亡事故発生件数は338件。その内、乗用型トラクターに係る事故が101件。突出して多い。年齢で見ると65歳以上が284件で84%を占める。農業就業人口の6割が65歳以上を占める時代だから当然の数字かもしれないが、それにしても高齢者の犠牲は多い。
出所:農林水産省 平成27年に発生した農作業死亡事故の概要
出所:農林水産省 こうして起こった農作業事故 2