作業員4人の肺から放射性物質。国内で過去にこれほどの内部被曝をした例はないという報道があった。てっきり原子力発電所で事故が起きたと思った。事故は日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで起きたもので、原発事故ではなかった。しかし放射性物質と聞くと原発事故と反射的に思ってしまうのには困ったものだ。
震災以前でも原子力発電所で過去に事故は起きているはずだ。いや、発電所そのものの事故とはどの位起きているのだろうか。
経済産業省に「電気保安統計」というものがある。ここに発電所別の事故件数が時系列でまとめられている。
「平成27年度電気保安統計」によると、平成18年度(2006年度)の発電所の事故件数は212で、水力98、火力78、風力19、原子力17という内訳である。事故件数はその後徐々に減少していて、平成27年度(2015年度)には総数131件となった。水力68、火力57、太陽電池1、風力4、原子力1という結果だ。
事故種類別に見ると、人身事故である感電死傷事故が平成18年度(2006年度)は12件、翌年が27件、そして18件、12件と減少するものの再び26件に増えている。毎年20件前後で推移していると見ることができる。
しかし、発電所でこのような事故が起きていることを報道で知ることはあまりないような気がする。原発で起きた事故は頻繁に目にするが、火力発電、水力発電、さらには風力、太陽電池でも事故は起きているのに知らない。原発事故で被害者が出ようが、火力発電や水力発電で被害者になろうが、同じ命で、同じ生活だと思うのだが、そうはいかないのだろうか。
出所:経済産業省 電気保安統計