農業生物資源研究所がオニグモの遺伝子を組み込んだ新しいカイコの実用品種化に成功したと発表した。クモの糸は強度に優れているもののクモ糸の生産はできなかった。今回開発されたクモ糸シルクは通常の絹糸に比べ1.5倍強靭になり、手術用の縫合糸や防災ロープなどの用途にも使える可能性がある。
今どきカイコの新しい品種が登場するというのに少し驚いた。そもそも日本で養蚕をやっている農家などあるのだろうか。あまり注目したことのない業界なのでデータを確認しておかなくてはならないと思った。
蚕糸・絹業提携支援センターのシルクレポートによると、養蚕農家は1994年に19,040戸もあったのが2013年には486戸に激減している。異常な減少である。皆揃って一気に撤退している。繭の生産も当然激減した。1994年7,724トンだったのが2013年はわずか168トンでしかない。養蚕業界がここまで惨憺たる状況だとは気づかなかった。
今回の新しい品種の開発で業界が復活できるとは思わないが、歯止めになれればと思う。